得点調整

多くの大学受験生は、センター試験が終わり、自己採点も終わり、私大入試や二次試験に向けて再スタートを切ったところでしょうか。

さて、大学入試センターは23日、今年の大学入試センター試験の「理科(2)」で、選択科目間の平均点に最大20点を超える差が生じたため、得点調整を行うと発表しました。

22日夜までの約53万人分の集計の結果、旧課程の「物理I」が最も高い69.93点で、新課程の「生物」の48.39点との間で21.54点の差がありました。

このため、物理Iの点数はそのままで、それより低い対象科目の受験者には、得点に応じ最大8点を加点するとのことです。

確かに新課程の「生物」は難しかったと思います。

今年のセンター試験は、昨年までと比べて理科が大きく異なります。

昨年までの理科は「物理Ⅰ」、「化学Ⅰ」、「生物Ⅰ」、「地学Ⅰ」の4科目が用意されていて、理系の受験生も文系の受験生も同じ問題を解答する形でした。

その上で、平均点が6割になるように作問されていました。

今年の理科は「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」の他、基礎に比べて内容が広く深い「物理」、「化学」、「生物」、「地学」の8科目用意されています。

文系の受験生は「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」から、理系の受験生は「物理」、「化学」、「生物」、「地学」から選択するのが一般です。

その上で、平均点が6割になるように作問されています。

「物理」、「化学」、「生物」、「地学」は比較的理科が得意な受験生が選択することとなり、平均点を60点にしようとすれば当然難易度は高くなります。

それに比べ、文系の受験生も選択する「物理Ⅰ」、「化学Ⅰ」、「生物Ⅰ」、「地学Ⅰ」の平均点を60点にしようとすれば、難易度を高くはできません。

どの科目も全く同じ平均点にすることは不可能でしょうが、試験が終わってからの得点調整というのは決して好ましいことではありません。

理系現役生は「物理」、「化学」、「生物」、「地学」の中からしか選択できず、「物理Ⅰ」、「化学Ⅰ」、「生物Ⅰ」、「地学Ⅰ」は浪人生(現役生よりも1年あるいはそれ以上勉強する時間が与えられている)しか選択できない科目であることをもっとしっかり考慮し、作問して頂きたかったと思います。